自由に書くのがおれのインターネットだ。

「おれのインターネット」。タイトル通りのブログ。ただし、内容はまったくパンクではありません。

「ブラックロッド」「ブラッドジャケット」「ブライトライツ・ホーリーランド」を読んだ

古橋秀之さんの三部作「ブラックロッド」「ブラッドジャケット」「ブライトライツ・ホーリーランド」を読んだ。

通し番号はふられていないがこの順序で読むことをお勧めします。

f:id:amabiee:20190703232928j:plain

この作品の魅力を端的に伝えるのであれば、第一作「ブラックロッド」のプロローグに出てくる単語を並べてみればよい。

「積層都市〈ケイオス・ヘキサ〉」「可聴領域ぎりぎりの高音域で祈り続ける祈祷塔」「呪装戦術隊(S.E.A.T.)」「機甲折伏隊(ガンボーズ)」「装甲倍力袈裟(パワード・カシャーヤ)」「プラジュニャー・パラミット弾」

そう、サイバーパンクに仏教をぶち込んだ世界観である。いやいや仏教だけではない。

「毎秒50メガ祝福単位(クライスト)」「魔導特捜官(ブラックロッド)」「〈式鬼(シキ)〉と呼ばれる人造霊(オートマトン)」「正午の聖水散布」「吸血鬼殲滅部隊(ブラッドジャケット)」「妖術技官(ウィッチクラフト・オフィサー)」「奇門遁甲

なるほどなるほどオカルト、呪術てんこ盛り。

f:id:amabiee:20190703234855j:plain

三作通じてこうした用語がさしたる説明もなく怒涛のように浴びせられる。用語の奔流によって読み手の頭の中に世界を構築していくのである。まさに呪術。

アートワークは三作品とも異なる作家によって描かれている。順に雨宮慶太さん、伊藤義則さん、前嶋重機さん。どのイラストも素敵だが、僕は挿絵として考えると雨宮慶太さんによるものが好きでした。挿絵というよりほとんどカットですが、挿絵は書き込みすぎるとイメージが固まってしまうため、雨宮さんのラフな書き味がこの作品にはちょうど良いように思いました。

f:id:amabiee:20190704000314j:plain

魔導特捜官と妖術技官が積層都市を奈落堕ちさせたとされる元大日本帝国陸軍陰陽将校ゼン・ランドーを追う「ブラックロッド」。
少年アーヴィング・ナイトウォーカーと少女ミラを軸に源吸血鬼〈ロング・ファング〉、降魔管理局、ヘルシングの秘密を明かす「ブラッドジャケット」。
悪霊スレイマンと妖術技官V13を中心に積層都市の危機に際して始動されたプロジェクト・トリニティの謎を追う「ブライトライツ・ホーリーランド」。

どの話も最後に大きな計画の謎が明らかにされ、各キャラクターがその計画の中でどのような役割を演じていたのかがわかる仕組みになっている。キャラクターはどれも個性的で魅力があるが物語の中心にあるのはその計画であり、世界観である。

f:id:amabiee:20190704000512j:plain

僕は最後にきちんと落ちていると思ったが、最後まで説明が不十分な状態で突っ走るので細けぇこたぁ気にせず楽しめる人は是非。

ブラックロッド (電撃文庫)

ブラックロッド (電撃文庫)

ブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))

ブラッドジャケット (電撃文庫 (0176))

ブライトライツ・ホーリーランド (電撃文庫)

ブライトライツ・ホーリーランド (電撃文庫)