「サルビルサ」を読んだ
スズキコージさんの「サルビルサ」を読んだ。
「大千世界の生き物たち」がスズキコージさんのイマジネーションを堪能する本だとすると、この本ではその色彩が楽しめる。
32ページの絵本だが、途中僕らが理解できる言葉は出てこない。話は二つの国の二つの言葉を話していると思しき人たちが出会う場面からはじまる。
と、書いたが、そもそもこれらが異なる言葉なのかどうかも本当はわからない。二つの国の言葉がちょうど反対から読んだものになっていたり、最後の鳥のセリフなり。
戦争をテーマに描いていることはわかる。なので読むと色々と解釈やら講釈やらをたれたくなる。
だが結局のところこの絵本をきちんと言語化してしまうとかえってただの一方的な道徳倫理になってしまう。あえて言葉にせずに、読んで何かを感じたままにしておくのも良いのではないか。
それにしてもこの色彩。裏表紙に描かれたパレットの通り、不思議な色彩感覚がこの絵本の世界を生み出している。
というわけで、手元に置いてちょいちょい読みたい絵本です。