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「輪切り図鑑 ヨーロッパの城」を読んだ

ティーヴン・ビースティーとリチャード・プラットによる「輪切り図鑑 ヨーロッパの城 中世の人々はどのように暮らし,どのように敵と戦ったか」を読んだ。

ここに描かれているのは「美しい城」ではなく「生きている城」である。

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岩波書店から出版されていたもので「クロスセクション」、「大帆船」に続く三作目にあたる。「大帆船」については以前紹介した。

amabiee.hatenablog.com

本書は中世ヨーロッパの城を、軍事と生活の様々な切り口から紹介している。この城には色々な階級、職業の人々が暮らしており一つの町を形成し、それに応じて城がどのように設計され、機能し、「大帆船」で書いたように一個のシステムとして成立していたのかを伝えている。

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しかしこれまあ子供向きか?

この本に書かれた知識を紹介すると、「女と子どもが先」では戦闘が始まると女と子どもは城内に避難したが食料がなくなると追い出され「生き残った者は,犬やネズミ,赤んぼうなど,見つけたものは何でも食べた」とか、「殺人的な飛び道具」では天秤式石投げ機では岩だけでなく死んだ動物や人間の首を発射したとか、「戦う司教」では「どちらの軍も”正義の戦い”を主張し,教会には(中略)敵を地獄へ落としてくれるように頼んだ」とか、「道化」では「道化には頭のおかしい人が多かった」とか、「世に出る」(!)では「さらし首は,防腐用のタールにつける前に,軽くゆでておいた」とか……やれやれ。

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情報を書き込む密度の高さには相変わらずうならされる。全32ページと短いようにも思えるが見開き一ページにどれだけ深く入り込めるかが勝負。今回もウォーリーならぬ「スパイをさがせ!」もあるので目を皿のようにしましょう。

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とりあえず「クロスボウ」がいかに恐ろしい武器であるかということはわかったが「中世の原子爆弾に相当」ってのは本当か。また「クロスボウ師」によると「クロスボウを作るのは最も腕のよい職人で,他の職よりも5割も高い賃金をもらった」そうな。

桐敷真次郎さんによる「訳者のことば」(カバーにのみ記載あり)によると「フランスのシノン城とイギリスのチェプストウ城をモデルにした」とのことらしい。

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上のリチャード・プラットの自己紹介からも分かるように、随所にイギリス人らしさなのかシニカルな態度が見え隠れしていてそれがお行儀の良い図鑑には見られない面白さになっている。やはり子供が読むのも良いだろう。