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みるずかん・かんじるずかん「宇宙ステーション」を読んだ

長友信人さんの「宇宙ステーション」を読んだ。福音館書店のみるずかん・かんじるずかん〈銀の本〉のうちの一冊です。

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「みるずかん・かんじるずかん」は「目でみるかがくの絵本シリーズ」で科学とは言いつつも幅広い内容の面白い本がたくさん出ています。「ずかんライブラリー」というのもあるのですが関係についてはよくわかりません。全32ページ。

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僕は宇宙に対するあこがれというのはあまりないですが、宇宙へ向かおうとする人の話が好きです。

この本では、宇宙ステーションがどのような姿をしていて、そこにはどんなしごとや暮らしがあるのかを紹介している。

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スペースシャトルで宇宙ステーションに到着するところから話ははじまる。宇宙ステーションの様々なユニットや各部の機能、そこで地球上とは異なるどんなことがあるのかが事細かに記されている。

絵は穂積和夫さんによるもので、大変すばらしい。穂積和夫さんといえばアイビーボーイが有名らしいが、もともと建築設計事務所に勤めており「日本人はどのように建造物をつくってきたか」シリーズなど緻密な描写がとてもうまい。そんな穂積さんによる宇宙もののイラストレーションというのは貴重なんじゃないかな。

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ところで図鑑において実物の写真ではなく絵を用いる利点は何だと思いますか。科学におけるスケッチにはとても重要な意味や価値があるのですが、この本の場合はずっと単純です。

この本が記されたのは1987年で、国際宇宙ステーションの打ち上げがはじまったのは1998年から*1。ようするにこの本が描かれたとき実物はなかったわけです。ソ連(当時)による宇宙ステーション「ミール」も1986年に打ち上げられたばかりでした。

しかも、ここで描かれるのは当時提案されていた計画の中から選び、2000年すぎの拡張されたかたちを想像して描いたものです。全くの期待や妄想で描かれた未来像は数多いですが、ここまで真面目に描こうとした例は珍しく興味深いです。もちろん、あくまでも予想なので実際とは異なる点は多々あるようですが。

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しかし、そこがまた面白い。最後のページでは「月ロケット船」が紹介されていますが、その説明もきちんとしていて他の記述と違和感ない。

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さながら宇宙ステーションの断面図鑑。単に技術的な装置について説明するだけでなく、中での人の暮らしを想像させるような記述が多くみられるのが好きです。

*1:本書には1994年から建造され1996年から使われることになっている、と書かれています。