自由に書くのがおれのインターネットだ。

「おれのインターネット」。タイトル通りのブログ。ただし、内容はまったくパンクではありません。

「スターライナーズ」を読んだ

旺文社から出ていたスチュアート・カウリーの「スターライナーズ 23世紀に活躍する宇宙船」を読んだ。監修は竹内均さん*1

f:id:amabiee:20201215222914j:plain

副題から未来予想のような本を想像されるかもしれないが、内容はSFというか作者の妄想です。

それを言えばフィクションは何でも作者の妄想じゃないか、と言えるがこの本は成り立ちがちょっと特殊で面白い。

f:id:amabiee:20201215223013j:plain

本書は23世紀、銀河系を支配するテラン連邦の宇宙航路を行きかう様々な宇宙航空会社の成り立ちや所有する宇宙船を紹介する図鑑であり、これから宇宙旅行を楽しもうという皆さんに価値ある情報を与えるガイドブックである。

TTAによって認可された宇宙航空会社のイラストに、本社登録所在地、登録年次、運行状況、運行区域、保有船艇とともにその説明書きが付されている。

f:id:amabiee:20201215224601j:plain

宇宙航空会社を紹介するガイドブックという体裁がまず珍しくて興味を引く。

書いたのはテラン連邦防衛軍司令官でTTAの情報将校でもあるスチュアート・カウリー氏。

f:id:amabiee:20201215224927j:plain

本書が特殊なのはここに載っているイラストが書き下ろされたものではない、という点だ。

普通であれば著者が設定を考え、イラストレーターがその文章に合わせて絵を描くはず。

しかし本書は、画集や小説の挿絵として描かれた複数のイラストレーターの絵を一冊の本にまとめて、それにもともとの意図とは関係なく著者が(勝手に)テラン連邦という設定のもと解説を書いたものです。

これは画集なのか?SFなのか?はたまた図鑑と言えるのか?

f:id:amabiee:20201215230111j:plain

そうした成り立ちを知っていると特別な面白さがある。「あなたはこの絵をみてどんな背景を想像しますか」と問いかけているのであり、この本はまさにそれをまとめたものだということである。

例えばカウリーは上の絵を見て「これは異星人によって開発された知的なロボット乗務員である」と解いた。この異星人、フロフラス人はテレパシーを持っており、彼らの外見などによって連邦チームの心の内に起る嫌悪感を読み取ってしまい連邦と良い関係を保てずにいた。その対策としてフロフラス人は地球人に合わせたロボット大使を開発し、これに仲介させることとしたのである。

f:id:amabiee:20201215231427j:plain

上はティージー・チャーター社のアベリー・アストロフリート号がピラミッド型をした専用の補給塔からエネルギーの供給を受けているところ。

下は宇宙船ではないけれどGMAトランスポート社が設立した海中輸送を専門に行うアクアツアーズ社の海底ツアー。

f:id:amabiee:20201215232440j:plain

Peter Elsonを中心にTrevor Webb, Tony Roberts, Chris Moore, David Jackson, Fred Gambino, Nick Fox, Prieto Murianaがイラストを提供しています。

この本は「テラン交通貿易局(TTA)」シリーズの一冊で過去のシリーズ4作("Spacecraft 2000-2100 AD", "Great Space Battles", "SpaceWreck: Ghost Ships and Derelicts of Space", "Starliners: Commercial Travel in 2200 AD")はいずれも邦訳されている*2

ただ最初の「スペースクラフト("Spacecraft 2000-2100 AD")」だけは講談社から1979年にソフトカバーで出版され、著者は「スチュワート=カウリー」表記でTTAも「太陽系通商産業公社」と訳されている。こちらの翻訳はあの「宇宙軍大元帥」であらせらる野田昌宏さんだから誠に適切な人選であると言えよう。

f:id:amabiee:20201216000238j:plain

*1:雑誌Newtonの創刊が1981年で、本書の初版が1981年11月25日の発行。

*2:Wikipediaによると別に出ている"Spacebase 2000"は"Spacecraft 2000-2100 AD"と"Great Space Battles"をまとめたもの、とのことである。