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「植草甚一の英語百科店」を読んだ。

主婦と生活社から出ていた21世紀ブックス「植草甚一の英語百科店」を読んだ。

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イラストレーションは安西水丸さんと本山賢司さん、デザインは水野石文さん、本文レイアウトは平野甲賀さん、と豪華すぎるラインナップです。

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この本は「J・J」こと植草甚一さんがニューヨーク見つけたものを中心にスクラップ・ブックの中から面白そうなものを取り上げて、英語やアメリカの世界を紹介しようというものだ……が、後半はわりととってつけ。植草さんのスクラップを楽しむ一冊。

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少しではありますが植草さんのいつもの文章も楽しめます。

例えば「ディスコグラフィーを作ろう」には植草甚一さんによるディスコグラフィー(レコードの録音記録)のまとめかたが書かれていて面白い。

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内容はというと、そこはそれ植草甚一さんのスクラップなので英語であっても載っている記事は他では間違いなくみられない変なものばかりです。

最初に出てくるのが上の「ペット・ロックの飼育法(How to feed Pet Rock)」。ペット・ロックってどんな生き物?と思うわけですが「石そのもの」です。「石(Rock)」がペットとしていかに優れているかが書かれています。ペット・ロックはどこへ行っても歓迎されます。動物が嫌いな人にも、動物にアレルギーがある人にも……。

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こちらは「1930年代のマリワナ売り」。マリワナの売人が使っていたスラングだらけの英語をみせた後で、それを一般的な英語で書き下してみせたもの。

他にもニューヨークにあるいろいろな「ジョン(John)」=公衆トイレを紹介、評価したレビューとか、コーヒーテラスで見つけたJazzライブのチラシとか、1886年から1979年までのコカ・コーラの宣伝コピーを年代順に並べたものとか。

どれもこれもユニークです。

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加えて安西水丸さんのイラストが可愛らしくて楽しい。上の右ページに載っているスラングなんかはまあヒドいが絵がキュートでだまされる。「ぐっとくるおっぱい」って……。

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一方で本山賢司さんのイラスト(多分)もとても良い。上のボリス・カーロフによるフランケンシュタインの怪物はぐっときた。車でファストフードを楽しむ普段のジンジャー・ロジャースのイラストも良いね。*1

平野甲賀さんによるレイアウトも自由で、眺めているだけで楽しく、中身も興味をそそられるものでとても面白かったです……英語の勉強になるかどうかは知らないけれども。

植草甚一の英語百科店 (21世紀ブックス)

植草甚一の英語百科店 (21世紀ブックス)

  • 作者:植草甚一
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

*1:未読だが出典はJohn Milton Hagenの「Holly-Would!」でもともとのイラストはオリンピックの銅メダリストであったFeg Murrayだそうな。