みるずかん・かんじるずかん「えもじ」を読んだ
みるずかん・かんじるずかん<銀の本>シリーズの中の一冊、谷川俊太郎さん・文、堀内誠一さん・構成の「えもじ」を読んだ。
まず「絵文字」を取り上げているところが大変面白いが、それに加えて谷川さんの優しい文章と堀内さんの秀逸すぎるレイアウトが魅力的です。
上は「おこりきんし」の絵文字。
家庭のなかの絵文字、取扱い方の記号、街のなかの絵文字、日本の道路標識、案内標識、動物横断標識、動物シンボルクイズ、地図の記号、日本の家紋、「男、女、子ども」、オリンピック競技の絵文字、さまざまな標識、統計図表への応用、ホボサイン、絵文字から絵ことばへ、……と31ページに様々な絵文字が取り上げられており、子どものみならず大人にとってもとても興味深い内容になっています。
構成はさすがの堀内誠一さんとあって、記号の大きさや配置、密度などにメリハリがあって眺めているだけでも決して飽きさせません。
余談になりますが、谷川俊太郎さんが文を書いて堀内誠一さんが絵を担当していると言えば同じ福音館書店の「たくさんのふしぎ」の創刊号「いっぽんの鉛筆のむこうに」もそうだったな*1。
絵文字と聞くと記号ばかりの平面的な内容になりそうなものですが写真も交えて「えもじ」の世界を広く紹介しています。
上のように「ピクトグラム」と言ってしまうとこんなものまで含めて良いのかな?と思ってしまうものも載せられていて、えもじ一つにこんなに様々な楽しみ方があるのかと気がつかされます。
「案内標識」「オリンピック競技の絵文字」では国などの違いによって同じものを表現するピクトグラムがどのように変化するのか、を並べて示していて面白い。
途中に登場する「動物シンボルクイズ」の記号のデザインは安野光雅さん、「地図の記号」に寄せられた「フランスの鉄道と観光地図」は堀内誠一さんが手がけたものだ*2。
僕はとりわけ堀内誠一さんの描く地図が大好きなのだが、そこに書き込まれた小さな記号のデザインにまで気を配ったことは無かったナァ。
アメリカを放浪する人たち(ホボと呼ばれる)が互いに情報を共有するために歩道や塀に書きつけた「ホボサイン(Hobo signs)」。それぞれの記号の意味が独特で他の絵文字にはない味があり、とても気になる。「この町では酒がのめる」という意味の記号とかある。
「絵文字から絵ことばへ」では太田幸夫さんの視覚言語LoCoS(ロコス)まで紹介されています。
子どもが色々な角度から興味をもって楽しめて、大人も知らないことが書かれている。とてもすばらしい一冊だと思います。
- 作者:谷川 俊太郎
- メディア: 大型本