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「比較大図鑑」を読んだ

ラッセル・アッシュ(絵はラッセル・バーネット、リチャード・ボンソン)による偕成社「比較大図鑑」を読んだ。

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タイトルの通り、速度や重さ、大きさ、体積、人口など様々なものごとを色々と変わった仕方で比較し、大判の見開きに詰め込んだとても面白い図鑑です。

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表紙を見ていただければわかる通り、絵を使った比較によって直接比較が難しいような見せ方で数字だけではイメージしづらいものごとを身近なものに置き換えて理解することができます。

例えば、乗り物の速さを理解するためには下のような比較をしています。

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ナマケモノがフランスの超特急列車TGVの機関車の一端をスタートするとともにTGVも走り出したとき、ナマケモノTGVの先頭に達するまでの間にTGVは29km走る。正直わかりやすいのかどうか微妙だが、TGVと先頭にちょこんと乗っかったナマケモノの組合せが秀逸。超高速でばく進するTGVの上を毛をなびかせながらのそりのそりと歩くナマケモノを想像するだけで笑える。

お次はこれ。

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草食動物の腸が長いということは誰しも知っていると思うが、腸がまっすぐのびたかたちで身体の中に入っているとしたらどうかという比較。発想がすごい。しかし、これは中々わかりやすいのではないか。

このように独特な比較の仕方が次々と出てきて読む人の想像力をかき立て、大変に楽しい。

一年間に宇宙空間から落ちてくる「ちり」の量がシロナガスクジラ何頭分の重さだか皆さんはご存知でしょうか?僕はご存じなかった。

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世界の山々を一枚にまとめてその高さを比較した「世界の山」。個々の内容もそうだが大判を活かした絵の美しさもすばらしい。

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特にこの水の表現はとても好きです。深さ、水量、海・湖・ダム、波など様々な「水」の比較をこれだけわかりやすく、なおかつ美しく描いているのにはぐっときます。

水量などはかたちを直方体にして比較しやすくしつつも海底や水の表現は絵的であったり、板状に広げられた海の上に置かれた月の影が水の上に落ちていたり、波の比較ではその力強さを失わない描写でこの見開き全体のバランスまで考えていたり。

わかりやすく比較しようとすると無機質になりがちなところを比較の仕方や描写によって活き活きと描き出していて、眺めているだけでも飽きさせません。

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そして圧巻大判4ページを使った見開きのこの迫力。かっこいいなあ……。本書ではこの4ページ見開きが二か所あります(「太陽系」と上の「陸上と水上の乗り物の速さ」)。

こうした図鑑は内容が短かったりするのですが、全1000項目をうたう大ボリュームで64ページと読みごたえもあり、中々お買い得感があります。

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「現実にはありえない方法で、意外なもの同士をくらべ」ることを可能にするのは、絵で描かれた図鑑ならではと言えるのではないでしょうか。

比較大図艦

比較大図艦